ワインセラーの選び方

ワイン保管の基本

ワインセラーを選択する前にワイン保管の最低限の知識をまとめました。
ワインの保管で最も大切な温度管理に絞ってお話します。

ワインの保管
(赤・白・シャンパンすべて)
12~15℃
※高級ワインでもテーブルワインでもどの品種でもどこの産地でも保管温度は変わりません。
供出温度(飲み頃温度) 赤 15~18℃
白 7~16℃
シャンパン 6~10℃
※供出温度は個別の銘柄により異なります。あくまで標準的なスタイルの目安としてください。

基本的な使い方

ワインセラーで12~15℃に設定しワインを保管します。
供出時は、通常白ワインやシャンパンは提供(飲む)前にセラーから取り出し、ワインクーラー(バケツのようなもの)で冷やし、提供します。赤ワインは室温で提供されます。

more→「ワインのおいしい温度(飲み頃温度)」

ワインセラーの
シーンに合った使い方

各ケースにおけるワインセラーの運用方法をみてみましょう

case01個人の方~入門編~

まずはワインセラーを購入し、ワイン趣味をスタートさせましょう。
ワインの保管はすべて14℃でOKです。白やシャンパンは、飲む前にワインクーラーで冷やしましょう。(冷蔵庫で代用することも可です。冷蔵庫で冷やすと5度ぐらいになります。)

case02個人の方~ワインが増えてきたら~

ワインを購入していくうちに、ワインが必ず増加してきます。
「好きな時に、好みのワインを飲む」そのようなライフスタイルにはより大きめのセラーが必要です。

  • ・お気に入りの銘柄がある。
  • ・ワインショップが近くにない。
  • ・通販で送料を減らしたい。
  • ・市場での流通が少なくなる前に熟成型のワインをまとめて購入


どうしてもまとめ買いにつながります

ワイン趣味が深くなればなるほど本数は増えるため、あらかじめ大きめのセラーを購入するという考え方があります。

既に小型のワインセラーを購入してしまった・・という方も、ご心配は無用です。小型は温度を低めに設定して、白ワインの供出温度用とします。このようにすれば白ワインを取り出してすぐにでも美味しく召し上がれますので、過去に購入したセラーも無駄にはなりません。

case03個人の方~インテリアとして~

ホームパーティや個人で楽しむ場合は、ガラス扉タイプがお勧めです。
ワインを飲みながら、貯蔵のラインナップ眺めて贅沢なひと時を味わうことができます。

case04レストラン

飲食店など使用頻度の高い場合は、プロ向きのより耐久性の高いセラー(ヴァンテックやアルテビノ)を選択します。
アルバイトの方でも出し入れをしやすくするために、ワインの棚はすべての段に装填する仕様にし、棚の引き出しのスムーズな商品を選択することで、複数の銘柄でも素早く供給することが可能となります。扉はホールに置く場合はガラス扉を選択することで、来店者の需要を喚起することができます。

case05レストランでの複数台数での運用

より大規模な飲食店ではより効率性を求められます。

仮に、ホールにアルテビノまたはヴァンテックを3台設置するとして、ホールのヴァンテック各1台を
●赤ワイン(14℃設定)
●白ワイン(7℃設定)
●シャンパン(5℃設定)
とします。こうすることでオーダー時に素早く対応することができます。
また、バックヤードにアルテビノのプレーン扉を配置すると、より長期の保管が対応可能です。

ワインセラー選択のポイント

スリムタイプ、二温度帯について

スリムタイプは、1台当たりの収納効率という意味では劣ります。しかし、限られた設置スペースを活かすという意味ではメリットがあります。
設置スペースが少ない場合は、スリムタイプ(弊社では奥行き600mm以下をそう呼んでいます)やニ温度帯のセラーも検討に入ります。
但し、ニ温度帯セラーは機械構造上複雑であることと高価であるため、可能であれば単温度帯のものをお勧めします。家庭用であれば、供出温度用途は冷蔵庫で代用できるため、余程のことがない限り、単温度セラーで良いと思われます。

中国製 VS 欧州製(日本製)

どの国の商品が安心かというご質問を受けることがあります。
現在はどのメーカー(実際は輸入元)も、一部を除き海外での生産がほとんどです。よって、生産国というよりは、日本の輸入元(輸入商社)に技術力があるかどうかで、商品の良し悪しが決定します。商品の選別(設計・使用の判断)、改善、検品などすべて工学的な観点からの分析が必要です。(手前味噌ではありますが、ジーマックスは工学部卒のエンジニアが多数在籍しております。安心してご使用いただけます。)

ボルドー積み

ボルドー積み

1台でよりたくさんのワインを装填したい場合はボルドー積みがお勧めです。
取り出しにくいという欠点はありますが、1台当たりの装填数、面積当たりの総点数、セラーに対するコストパフォーマンスは大きな差になります。同じ銘柄を複数量保管する場合など、大収納量に対応します。一部棚を抜いて、部分的にボルドー積みを導入することで、効率の良い収納を実現することができます。

径の大きいボトル ブルゴーニュ、シャンパーニュなど

ワインボトルの径の大きいブルゴーニュ(標準90mm)、シャンパーニュ(90mm~105mm)の数が多い場合は注意が必要です(標準的なボトルは80mm)。一般的には棚を外すなどし、大きめのボトルを収納します。
最近は、ブルゴーニュボトルに対応するワインセラーも出回っているので、棚間ピッチも忘れずにチェックしましょう。

コンプレッサー式 VS ペルチェ式

冷却方式の違いであり、どちらが良いとか悪いとかではなく、用途によって使い分けると良いです。
ペルチェ式は主に小型(12本レベル)、コンプレッサー式は30本クラス以上の大きさが得意です。
ペルチェ式は、半導体方式の冷却のため可動部がなく静穏です。ベッドサイドや寝室にも設置することができます。
コンプレッサー式は通常の冷蔵庫と同じモーター音がしますので、台所など、寝室から離れたところに設置するようにします。
なお、ペルチェ方式のセラーは、海外製の粗悪な部品が使用されている場合や商品設計そのものに問題があるケースが多く、信頼できる技術の持った輸入会社から購入することが重要です。

ヒーター機能、庫内ファンの有無、湿度管理機能

ヒーター機能があれば、冬の温度が低いときにもワインを室温レベルに保つことができ、香りや味わい、品質の変化を抑えることができます。庫内ファンがある場合は、庫内の冷気が循環し、温度ムラが少なくなります。よりしっかり庫内温度を管理したい場合は、ファン付きがお勧めです。
また、ローコスト機種は湿度の管理機能が無い場合がありますので、より厳密にワインを管理したい場合は、その分コストが上がりますが、湿度管理付きの機種を選択ください。

ガラス扉 VS プレーン扉、UVについて

ワインの保存において太陽光を避けることも重要とされています。太陽光を遮るために最もお薦めするのがプレーン扉です。もしディスプレイをしたいなら、UVカットガラスを使用した扉のモデルにします。これらの機能は、どこまで厳密に管理する必要があるかとご予算を比較してご検討ください。

おわりに

セラーの選択をテーマにできるだけわかりやすい文章で、ワインと機械の専門的な内容をお伝えできるよう整理いたしました。一部は内容を概略的にまとめすぎている点はあるかと思いますが、ご容赦ください。以上のようなことに注意いただければ、快適にワインセラー選んでいただけると思います。